マンションの管理の主体
区分所有法では、第3条で「区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成」するとされており、「マンション管理適正化法」及び「マンション標準管理規約」では、それを管理組合と定義しています。
管理組合の運営
管理組合は、区分所有者等の資産であるマンションを、自ら適正に管理していく上での主体であることから、自律的に運営していくことが必要であり、区分所有者等の合意により管理組合を運営するとともに、マンションに関する情報等を保管し、必要に応じて開示できる状況を整えておくなど、資産価値の維持・向上への取組を行っていくことが重要とされています。
管理者等
区分所有者等は、建物の区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号。以下「区分所有法」という。)第25条に規定する管理者(区分所有法第49条第1項に規定する管理組合法人の理事を除く。)を選任することが必要です。
管理者等は、マンション管理の目的が達成できるように法令等を遵守し、区分所有者等のため、誠実にその職務を執行する必要があります。
※
管理者は、区分所有者によって構成される団体の執行機関であり、管理規約に別段の定めがない限り、集会の決議によって選任されます。
※ 管理者は、共用部分及び区分所有法第21条に規定する場合における当該建物の敷地及び附属施設を保存し、集会の決議を実行し、並びに規約で定めた行為をする権利を有し、義務を負います。
※
また、上記の義務のほか、管理規約、集会の議事録、書面決議の書面等の保管、集会の招集、集会における事務報告の義務を負います。
※
なお、管理組合法人は、執行機関として理事が置かれるため、管理者の制度は適用されません。
管理規約
管理組合は、マンション管理の最高自治規範である管理規約やこれに基づく細則(以下「管理規約等」という。)が、居住者の行動規範(住まい方のルール)として遵守され、マンションを取り巻く社会環境の変化等に即したものとなるよう、次に掲げる事項について取り組むことが必要です。
(1)居住実態を踏まえた自主的な管理規約等とすること。そのため、管理規約等の点検に努め、法令等や標準管理規約(平成29年8月29日付国土動指第27号・国住マ第33号等)の改正等のマンション管理を巡る状況の変化が生じた場合や不衡平な規定の存在が明らかになった場合等において、必要に応じて管理規約等を改正すること。
(2)専有部分及び共用部分の使用方法並びに理事会の運営等に関し、必要に応じ細則を設けること。
(3)管理規約等の原本を保管し、保管場所を掲示するとともに、改正理由等を時系列に整理しておくこと。
(4)管理規約等が遵守されるよう、広報活動、コミュニティ活動等による継続的な取組を行うこと。
(5)区分所有権の移転等に際し、区分所有者等又は区分所有者等からの媒介の依頼を受けた宅地建物取引業者等の利害関係人から、管理規約や総会議事録、会計帳簿、長期修繕計画書等の管理組合の財務・管理に関する情報の開示を求められた場合の開示する情報の範囲や方法について定めておくこと。
(6)管理規約等の違反者への対応を定めておくこと。
総会の開催等
管理組合は、総会が管理組合の最高意思決定機関であることを踏まえ、区分所有者等全員による議決権の行使や総会運営の透明性の確保に向けて、次に掲げる事項について取り組むことが必要です。
(1)少なくとも年1回、総会を開催すること。
(2)緊急を要する場合を除き、総会の開催の通知に先立ち、開催予定日が明らかになり次第、掲示板等で開催の予定日時を周知すること。
(3)重要な案件について、事前説明会、アンケート等による意見聴取に努めること。
(4)総会の開催の通知に当たっては、出席・欠席の確認書のほか、議案に係る議決権行使書及び委任状を添付すること。
(5)総会の終了後、旱期に議事の内容について整理・確認し、議事録を作成すること。
(6)総会の議事録は、適宜戸別配布を行うとともに整理・保管し、区分所有者等又は利害関係人からの書面による請求に対し随時閲覧できる伏態にするなど、情報の透明化及び共有化を図ること。
管理組合は、円滑な組合活動を行うため、次に掲げる事項について取り組むことが重要です。ただし、外部の専門家に管理を委ねる場合や、規模の小さいマンションの場合等で、理事会を設けないときは、(2)及び(3)の限りでありません。
(1)管理組合は、総会の決議により役員を選任すること。また、選任された役員は、それぞれの職務を誠実に行うこと。
(2)管理組合の業務執行を決定するため、理事会を置くこと。
(3)管理組合は、少なくとも2か月に1回定期的に理事会を開催すること。その運営に当たり、安定性、公正性及び自立性を確保するため、基本的な事項を管理規約に、管理規約に定めのない事項及び補足する事項を細則に定めること。
(4)管理規約には、管理組合の役員に関して定めること。定める事項の例としては、役員の資格、欠格条項、利益相反取引の防止、役員の選任方法、役員の任期と管理運営の継続性を確保していくための措置、役員に欠員が生じた場合の措置、理事の職務、監事の職務及び理事会への関与(ただし、理事会を設けない場合を除く。)が挙げられます。
総会の決議事項
総会での決議事項の種類
総会での決議事項の種類は、以下の2種類があります。
普通決議事項
通常、議決権の票数と区分所有者数の票数の各過半数の賛成によって決議する事項
特別決議事項
普通決議で必要とされる過半数よりも多くの賛成(3/4、4/5など)によって決議する事項
※(参考)区分所有法
(議決権)
第38条 各区分所有者の議決権は、規約に別段の定めがない限り、第14条の定める割合による。
(議事)
第39条 集会の議事は、この法律又は規約に別段の定めがない限り、区分所有者及び議決権の各過半数で決する。
2 議決権は、書面で、又は代理人によって行使することができる。 (以下省略)
普通決議事項
必要な定数 | 普通決議事項 | 区分所有法根拠条項 | 補 足 |
---|---|---|---|
規約に別段定めがない限り、過半数(出席区分所有者等の議決権の過半数) | 共用部分の管理に関する事項 (変更及び保存行為を除く。) | 法第18条第1項本文 | 規約で、総会の決議以外の方法(理事会など)で決することを定めることができる。(ただし、特別決議に係る事項 (共用部分の変更など)を除く。) |
区分所有者の共有に属する敷地又は附属施設の管理に関する事項(変更及び保存行為を除く。) | 法第18条第1項本文法第21条 | ||
管理者の選任・解任 | 法第25条第1項 | ||
議長の選任 | 法第41条 | ||
管理組合法人の理事及び監事の選任・解任並びに任期 | 法第49条第5項から第8項まで、法第50条第4項、法第25条第1項 | ||
管理組合法人の事務 | 法第52条第1項本文 | ||
小規模一部滅失の場合の復旧 | 法第61条第3項 | ||
共同利益背反行為の停止等の請求の訴訟の提起 | 法第57条第2項、第4項 | 必ず、総会での決議によらなけれなならない。 | |
法第57条から第60条までの訴訟追行についての管理者等に対する訴訟追行権の授権 | 法第57条第3項、第4項、法第58条第4項、法第59条第2項、法第60条第2項 | ||
管理者に対する訴訟追行権の授権 | 法第26条第4項 | 規約で定めることができる。 | |
管理者がいない場合の規約、議事録書面・電磁的方法による決議に係る書面・電磁的記録の保管者の選任 | 法第33条第1項ただし書、法第42条第5項、法第45条第4項 | ||
理事が数人ある場合の代表理事の選任又は共同代表の定め | 法第49条第5項 | ||
共用部分の変更(建築物の耐震改修の促進に関する法律第25条第2項に基づく認定を受けた建物の耐震改修) | 建築物の耐震改修の促進に関する法律第25条第3項 |
特別決議事項(特別決議事項は、全て総会の決議によって決する必要がある。)
必要な定数 | 特別決議事項 | 区分所有法根拠条項 | 補 足 |
---|---|---|---|
区分所有者及び議決権総数の3/4以上 | 共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないもの(建築物の耐震改修の促進に関する法律第25条第2項に基づく認定を受けた建物の耐震改修を除く。)を除く。) | 法第17条第1項 | 規約により、区分所有者の定数は、過半まで減ずることが可能 |
区分所有者の共有に属する敷地又は附属施設の変更 | 法第21条、法第17条第1項 | ||
規約の設定・変更・廃止 | 法第31条第1項 | ||
管理組合法人の成立 | 法第47条第1項 | ||
管理組合法人の解散 | 法第55条第1項第3号、第2項 | ||
共同利益背反行為をした区分所有者に対する専有部分の使用禁止の請求 | 法第58条第1項、第2項 | ||
共同利益背反行為をした区分所有者に対する区分所有権の競売請求 | 法第59条第1項、第2項 | ||
共同利益背反行為をした占有者に対する引渡請求 | 法第60条第1項、第2項 | ||
大規模一部滅失の場合の復旧 | 法第61条第5項 | ||
建替え決議 | 法第62条第1項 | ||
マンシヨン敷地売却決議 | マンシヨン建替法第108条 |
管理費
管理組合は、マンションの管理の実態に応じ、管理費として区分所有者等が拠出すべき額及びその徴収方法を定め、適切に使用することが必要である。
管理費は、建物の共用部分、敷地及び附属施設の通常の管理に要する経費であり、次の項目に係る経費に充当する。
マンション標準管理規約(単棟型)第27条における「通常の管理に要する経費」
@ 管理員人件費
A 公租公課
B 共用設備の保守維持費及び運転費
C 備品費、通信費その他の事務費
D
共用部分等に係る火災保険料、地震保険料その他の損害保険料
E 経常的な補修費
F 清掃費、消毒費及びごみ処理費
G 委託業務費
H 専門的知識を有する者の活用に要する費用
I 管理組合の運営に要する費用
Jその他第32条に定める業務に要する費用(修繕積立金を除く。)
修繕積立金
管理組合は、マンションの維持保全の実態に応じ、修繕積立金として区分所有者等が拠出すべき額及びその徴収方法を定めることが必要です。
また、修繕積立金は、管理費とは区分して経理することが必要です。
修繕積立金の設定に当たっては、特に、経年による劣化に対応するため、長期修繕計画に定められている修繕工事を実施できるよう、必要な金額を積み立てておくことが重要です。
なお、長期修繕計画の見直しに合わせて、必要に応じて積立方式等の資金計画を見直すことが重要です。
修繕積立金の積立方式
均等積立方式
@ 特 長
将来にわたり定額負担として設定するため、将来の増額を組み込んでおらず、安定的な修繕積立金の積立てができます。
A 留意点
修繕資金需要に関係なく均等額の積立金を徴収するため、段階増額積立方式に比べ、多額の資金を管理する伏況が生じる。均等積立方式であっても、その後の長期修繕計画の見直しにより増額が必要になる場合もあります。
段階増額積立方式
@ 特 長
修繕資金需要に応じて積立金を徴収する方式であり、当初の負担額は小さく、多額の資金の管理の必要性が均等積立方式と比べて低くなります。
A 留意点
将来の負担増を前提としており、計画どおりに増額しようとする際に区分所有者間の合意形成ができず、修繕積立金が不足する場合があります。
修繕の計画的な実施
管理組合は、計画的な修繕工事を円滑に実施するため、マンションの実情に応じて最適な実施方法等を検討の上、次に掲げる事項について取り組むことが必要です。また、必要に応じて第三者的立場の専門家による公正かつ客観的なアドバイスを受けることが重要です。
(1)計画的な修繕工事の実施に向けた専門委員会の設置
(2)計画的な修繕工事の実施体制
(3)計画的な修繕工事の内容・仕様
(4)計画的な修繕工事を実施する業者の選定方法
(5)計画的な修繕工事に要する費用の調達方法
(6)計画的な修繕工事に関する履歴の保管方法
(了)長期修繕計画への反映
長期修繕計画
管理組合は、快適な居住環境及び資産の維持保全を図るため、建物・設備の実態に即した長期修繕計画を作成し、定期的に見直しを行うことが重要です。
※
長期修繕計画は、通常、新築時点で用意されますが、標準的で、必ずしも建物・設備の実態に即したものとなっていない場合もあることから、管理組合は、一定期間経過後に点検し、必要な見直しをするとともに、その後も定期的(おおむね5年程度ごと)に見直しを実施していく必要があります。
※
長期修繕計画の計画期間は、新築マンションの場合は設備関係の修繕を考慮して30年程度とし、既存マンションの場合は大規模修繕工事が2回含まれることを考慮して25年以上とします。
※
また、マンションに求められる性能・機能は、住まい方の変化や設備機器の進歩等により年々高まっていることから、高経年マンションの質及び価値を維持していくためには、修繕による性能の回復に加えて、防災機能の向上やバリアフリー対策、ユニバーサルデザインヘの配慮など、現在の居住水準・生活水準に見合うよう、性能をグレードアップしていくことも重要とれさています。
出納・会計処理
管理組合は、適正な資金管理、公平な負担と使途の透明性の確保を図るため、次に掲げる事項に関する規定を細則に定めることが重要です。
(1)出納・会計に係る処理基準及び管理費の具体的な支出内訳
(2)修繕積立金の運用方法
(3)会計処理及び財産伏況の監査の方法
滞納防止・滞納処理
管理組合は、管理規約等にあらかじめ滞納者に対する措置を定め、区分所有者等に対し周知しておくとともに、滞納が発生した場合は、滞納管理費等に消滅時効があることも踏まえて、迅速に取り組むことが重要である。
※
管理費等の確実な徴収は管理組合の適正な管理の根幹的な事項であり、滞納金の回収は極めて重要です。滞納者に対して必要な措置を講じることは、管理組合の最も重要な職務の一つです。
※
なお、マンションの管理費等の滞納は、最高裁の判例から、5年をもって時効消滅となります。このことからも、管理組合は、滞納を放置せず早期に対応することが重要です。
※
区分所有者等による管理費等の滞納は、管理組合として定めた長期修繕計画における資金計画の内容に大きく影響を与えるものとなります。滞納金が増えると、当初予定していた修繕工事が実施できなくなってしまう可能性も生じ、建物の劣化を誘引する結果となりますので、このことを各区分所有者等に周知しておくことが必要です。
区分所有者等の名簿
管理組合は、区分所有者等への平常時における連絡に加え、火災、地震、風水害等、緊急時の迅速な対応を行うため、次に掲げるものを常備するとともに、(1)及び(2)の名簿は常に最新の情報に更新しておくことが重要です。
(1)区分所有者等名簿(非居住者を含む。)
(2)居住者名簿及び避難行動要支援者名簿
(3)名簿の取扱いに関する規程
個人情報保護法
個人情報保護法と管理組合
・全ての事業者に個人情報保護法が適用されるため、管理組合も法の事業者に該当します。
・個人情報を集める際には利用目的を特定し、個人情報を保管する際には盗難・紛失等のないよう、適正に管理する必要があります。また、個人情報をマンション管理業者や第三者 に提供する際には、適切な監督や本人の同意を得た上で提供し、記録を残すなど、ルールを定めておく必要があります。
耐震化対策
管理組合は、建築確認済証の交付年月曰が昭和56年5月31曰以前の建物については、耐震性が不足している可能性があるため、マンションの耐震化対策に関する円滑な合意形成に向け、区分所有者等に対して、その重要性について説明し、次に掲げる事項に留意しながら、耐震化対策に取り組むことが重要です。
(1)専門委員会の設置や専門家の活用等、計画的な実施に向けた検討体制を確保すること。
(2)耐震診断、耐震設計及び耐震補強工事に係る費用負担その他住戸への影響等について、区分所有者等の理解を十分に得ること。
(3)構造面における耐震化対策だけにとどまらず、設備に関する耐震対策も行うなど、総合的な視点で耐震化を進めること。
(4)耐震診断の結果、耐震性が不足しているにもかかわらず、早期に耐震補強工事を実施することが難しい場合は、長期修繕計画を見直し、実施目標を設定すること。
マンションに関する情報等の保管
管理組合は、マンション管理業者と連携を図りつつ、次に掲げるものについて、主体的に情報を整備し、保管するよう取り組むことが重要です。
(1)管理規約、細則、総会議事録、理事会議事録、長期修繕計画、設計図書及び修繕等の履歴情報等の書類
(2)会計帳簿、什器備品台帳、組合員名簿その他帳票類
(3)管理組合の財務・管理に関する情報
(4)マンション共用部分の点検や調査・診断等を行つた時に作成・提供される書類等
(5)専有部分の修繕等に関する工事の書類等
防災対策
管理組合は、火災、地震、風水害等に備えるため、次に掲げる事項に取り組むことが望ましいとされています。
(1)総会や理事会で意思決定ができない場合や緊急に専有部分に立ち入らなければならない事態が生じた場合の管理規約等におけるルールの整備
(2)自主防災組織の設置
(3)防災マニュアルの作成
(4)屋内の避難場所の確保
(5)防災用備蓄倉庫の設置
(6)地震等による被災時に必要となる設備機器及び資材の確保及び継続的な維持管理
(7)飲料水及び非常用食糧の確保等
(8)避難行動要支援者の把握
(9)防災訓練の実施
(10)火災・地震保険の加入
住環境の維持
マンションにおける快適で安全な住生活を維持し、また向上させていくためには、防犯や防災、衛生、景観等、良好な住環境を維持していくことが重要であることから、管理組合は、次に掲げる事項について取り組むことが望ましいとされています。
(1)良好な住環境の維持のために必要なルールを整備すること。
(2)防犯性の高いマンションとするため、居住者の安全を確保する対策の充実を図るこ
と。
(3)バリアフリーの観点から共用部分の維持管理・点検の仕組みを整えること。
(4)法令等による緑化や駐車場附置等の基準を遵守するため、外構の維持管理・点検を
行うこと。
(5)省エネルギーの観点から、共用部分について、照明のLED化Sや断熱性能の向上等
の検討を行うこと。
(6)地域の安心・安全の確保や住環境の維持のために行政が行う施策に協力すること。
居住者コミュニティ・地域コミュニティ
管理組合は、マンションにおける快適で安全な住生活や円滑な管理組合運営を確保していくため、次に掲げる事項について取り組むことが望ましいとされています。
(1)快適で安全な住生活や円滑な管理組合運営の確保のために必要なルールを整備すること。
(2)継続的に居住者間のコミュニティの形成を図ること。
(3)マンション及び周辺の風紀、秩序及び安全の維持、防災並びに居住環境の維持及び向上に係る活動に関して、行政や地域コミュニティとの連携を図ること。
マンション管理業者への委託等
管理組合は、マンション管理業者に管理を委託する場合は、マンション管理業者と良好な関係を構築し、自律的な運営をしていくため、その委託に当たり、自主的に委託内容を決め、内容の透明性を確保するとともに、事前に区分所有者等間の合意を得るものとします。
外部専門家の活用
管理組合は、外部の専門家に対し、管理組合の管理者等又は役員への就任を依頼する場合は、利益相反等に注意し、管理業務の委託や工事の発注等について、ルールを整備しておくことが望ましいとされています。
外部の専門家を管理者等とする場合、当該専門家は、その判断・執行の誤りによる財産毀損に係る賠償責任保険に加入していることが望ましいとされています。
住戸が相続されない場合の対応
マンションの区分所有者が亡くなった場合において、その相続人の存在・不存在が明らかでないとき(相続人全員が相続放棄をして、結果として相続する者がいなくなった場合も含まれる。)には、管理組合などの利害関係者は、家庭裁判所に対し、相続管理人を選任する申立てをすることができます。相続財産管理人は、被相続人の債権者等に対して被相続人の債務を支払うなどして清算を行い、清算後残った財産を国庫に帰属させることになります。
マンションに関する情報等の開示
管理組合は、売買時における管理組合の運営・財産伏況等、管理に係る情報を、購入予定者等に対して可能な限り購入検討時期に開示することが望ましいとされています。
行政機関に対する届出等
管理組合は、建築・設備に係る法定の点検等や条例及びマンションの適正な管理の促進に関する区市町村の条例に基づく報告・届出等を円滑かつ適正に実施するため、次に掲げる事項について取り組むものとする。
(1)法定の点検等に係る対象設備、部位の一覧を用意し、区分所有者等への周知を図ること。
(2)法定の点検等の報告書又はその写しを保管し、区分所有者等が随時閲覧できる伏態にすること。
(3)法定の点検等で指摘があった際には、その改善等に向けて適切に対応すること。
(4)条例第15条第1項、同条第3項、同条第5項、第16条第1項及び同条第2項に定めるマンションは、規則に定める期日までに届出書を提出すること。
(5)その他行政から調査等の要請がある場合は、必要な協力を行うこと。
マンションの再生
管理組合は、旱い段階から将来の建替えや改修等、再生に向けての意識を持つことが重要であるため、次に掲げる事項について取り組むことが望ましいとされています。
(1)区分所有者等への再生に関する意識の啓発
(2)再生に向けての検討体制の整備
(3)再生に必要な資金の確保
出典 :
「マンション管理ガイドブック」 / 東京都