徳田けんいち後援会

科学・医療
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Muse細胞 & 慢性腎臓病


 ■ 東北大学大学院医学系研究科からのプレリリース

 2017年7月、東北大学大学院医学系研究科より、「Muse 細胞の点滴による慢性腎臓病の新しい治療法の可能性」というタイトルで、大変衝撃的な発表がありました。

 なぜ衝撃的だったかといえば、その発表において、「ヒト骨髄由来 Muse 細胞の静脈投与によって、慢性腎臓病モデルマウスの腎機能障害を回復させることができた。」とされていたからです。

 慢性腎臓病の恐ろしいところは、この病気が他の病気とは異なり、病状の悪化を食い止めることはできても、元の状態には戻すことができないとされていることです。

 慢性腎臓病患者は、病状の悪化を食い止めるために、罹患の原因となった糖尿病・高血圧・高脂血症などの治療に専念するほか、塩分・たんぱく質・カリウムの制限などにも注意を払い続けます。

 しかし、そのような努力を重ねても、多くの場合、慢性腎臓病を患っている患者の方々は、やがて透析治療を余儀なくされる事態に直面することになります。

 東北大学大学院医学系研究科の研究グループが発表した、Muse 細胞の注射・点滴投与による慢性腎臓病の治療法は、まだ動物実験の段階とはいえ、病状が悪化した腎臓を修復し、透析治療とは無縁な、健康な状態に引き戻すことができる可能性を示唆しています。

 しかもそのために、入院や手術を行う必要もなく、注射や点滴で治療ができるというのですから、慢性腎臓病患者の方々にとっては、大変な朗報です。

 ■ Muse細胞とは

 東北大学大学院医学系研究科の研究グループの発表では、Muse 細胞とは、腫瘍性を持たない、生体由来多能性幹細胞ということですが、静脈投与で傷害組織に集積し、その組織に応じた細胞に自発的に分化することで組織を修復することが知られているということです。

 Muse細胞は2007年、東北大学大学院医学系研究科の出澤真理教授らの研究グルーブにより、初めて発見されています。

東北大学大学院医学系研究科細胞組織学分野 出澤真理教授
出典 : 東北大学大学院医学系研究科ホームページ

 1981年にES細胞、2006年にips細胞が報告され、2014年にSTAP細胞が発表されていますが、Muse細胞は、ES細胞で指摘された倫理上の問題、ips細胞で報告されているがん化の問題、STAP細胞で紛糾することになった不確実性もなく、機能的にも優れ、理論的にも明瞭な多能性幹細胞だったことから、大変注目されることになりました。

 慢性腎臓病の治療としては、国内の多くの大学・研究機関で、同時期以降、多能性幹細胞を利用した腎臓の再生も視野に入れながら、様々な治療法が研究されていますが、Muse細胞を注射・点滴するだけで病状の悪化を食い止め、健康な状態を取り戻すことができるのであれば、多方面にわたる条件を勘案しても、それが最良の道であるように思われます。

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