地球の資源は有限です。
この有限な地球の上で、約80億人の人たちが生活しています。
このような状況のなかで、その有限な資源の少しでも公平な分配が要請されているにもかかわらず、全体の1%にも満たない人々が世界の総資産の37.8%も所有していたとしたら、どうでしょうか。
当然のことながら、さまざまなかたちでの政治的な運動や変化を誘発することになるでしょう。
要するに、抑圧された多くの人々が、自分たちに不利な体勢を覆そうとすることになります。
その最も卑近な例が、おそらくはここ数年来の南米諸国の左傾化、また、アメリカ国内の移民など、恵まれていない層からの民主党への支持によるアメリカの左傾化、などがあげられるように思われます。
アメリカの例は複雑なので、また別の機会にふれさせていただくとして、今回は富と権利の偏在がもたらした国や地域の左傾化として、南米の例を考察させていただきます。
南米の左傾化の原因は多岐にわたりますが、主な要因として以下のような点が挙げられます。
1.歴史的背景 :
南米諸国は長い間、植民地支配、独立戦争、軍事独裁、外国の経済的・政治的干渉などの歴史的な要因により、社会的・経済的な不平等が存在しました。これらの問題は、左派政党が権力を求める動きを助長しました。
2.社会的不平等 :
資源の不均等な配分、収入格差、貧困層の増加などが南米諸国で顕著でした。これらの問題に対処するために、左派政党が社会的正義を訴え、再配分政策を提唱しました。
3.ポピュリズム :
南米ではポピュリズムがしばしば政治的な手法として用いられてきました。左派政党は、広範な支持層に訴えることで人気を集め、選挙で成功を収めることがあります。
4.外国の影響 :
冷戦時代においては、アメリカ合衆国とソビエト連邦が南米諸国の政治的・経済的な動向に影響を与えました。一部の国では、キューバ革命などの影響を受けて左派政治が台頭しました。
5.反グローバリゼーション運動 :
1990年代から2000年代初頭にかけて、南米では反グローバリゼーション運動が盛んになりました。これは市場主義や国際金融機関に対する批判を背景に、左派政党が台頭する要因となりました。
6.地域的な連携 :
南米諸国の間で、左派政権を支持する政治的・経済的な連携が強化されました。例として、ベネズエラのヒューゴ・チャベス政権は、同じく左派の政府を持つ国々と協力を深めました。
これらの要因が組み合わさり、南米諸国における左傾化の傾向が生まれました。ただし、南米諸国は個別に異なる政治・経済状況を抱えており、各国の具体的な状況によってその要因や結果は異なる場合があります。