徳田けんいち後援会

歴史・文芸
歴史・文芸
歴史・文芸

フィヒテ「知的直観」


 フィヒテ(Johann Gottlieb Fichte)は、18世紀から19世紀にかけて活躍したドイツの哲学者で、彼の哲学は主にドイツ観念論の一部として位置付けられます。彼は特に自己意識と自由意志の問題に焦点を当て、知識の基礎や人間の能力について独自の理論を提唱しました。

 知的直観(intellektuelle Anschauung)は、フィヒテが提唱した重要な概念の一つです。彼の哲学の中核にある概念であり、知識の源としての直観を指します。フィヒテは知識を理性による純粋な直観から派生するものとして捉えました。この知的直観は、経験に基づく感覚的な知識ではなく、直接に理性によって把握される抽象的な知識とされます。

 フィヒテは、「我思う、ゆえに我あり」(Cogito, ergo sum)というデカルトの有名なフレーズを発展させ、「我反転、ゆえに世界あり」(Ich kehre mich, darum ist die Welt)という主張を行いました。この主張は、我(自己)が自己と他者との対立を通じて意識されることによって初めて、世界や客体が存在するという考え方です。彼によれば、我の自己反転がなければ、世界は存在せず、我の知識は成立しないとされました。

 フィヒテの知的直観の概念は、彼の理論の中核を成すものとして重要視されていますが、彼の哲学は多くの複雑な問題を含んでおり、後の哲学者たちによってさまざまな解釈や評価がなされています。

ページトップへ

Translate »