徳田けんいち後援会

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イギリス、HS2(High Speed 2)の現状


 日本では現在、中央新幹線の工事が行われていますが、イギリスではHS2(High Speed 2の略)といって、ロンドンと北部の主要都市を結ぶ高速鉄道ネットワークの建設が進められています。

 ロンドンのキングス・クロス駅とエディンバラのウェイヴァリー駅を結ぶ東海岸本線(East Coast Main Line)、 ロンドンのユーストン駅からスコットランドのグラスゴー・セントラル駅を結ぶ西海岸本線などで、すでに200kmを超える速度で列車が運行されているにもかかわらず、イギリスの人々は300kmを超える速度で走る本格的な高速鉄道の運行を希望しています。

 結果として、日本の日立レールとフランスのアルストムの共同事業体が車輛を製造することになりましたが、全体のインフラ整備を含めると10兆円を超える巨額の費用がかかると試算されていますので、日立レールとアルムストムには、イギリスの人々の期待に確実に応えらるように頑張っていただきたいと思います。

 ちなみに、HS2の前にHS1(High Speed 1)があり、英国初の高速列車専用線として1998年から建設が進められ、2007年に全線開業しています。これもイギリスの高速鉄道路線の一つで、ロンドンと英仏海峡トンネルを結び、ロンドン・セント・パンクラス駅から出発し、ケント州(Kent)のエブシュリントン(Ebbsfleet)およびアッシュフォード(Ashford)を経由してチャンネル・トンネルに至ります。

 このときも日立が、HS1および在来線の双方を走行可能な新形式高速車両Class395を納入しています。

This is Britain’s new high-speed rail network.

 HS2は、ロンドンからミッドランド地域、北西地域、ヨークシャー地域、北東地域などを結ぶ高速鉄道路線を構築します。主要な駅は、ロンドンのEuston駅、バーミンガム市内に新設されるCurzon Street駅、マンチェスター、リーズ、シェフィールドなどが含まれています。

 工事はまず「第1期」として、ロンドンとイングランド中部バーミンガムを結ぶ区間が2029年の開業を目指して進められており、「第2期」としてマンチェスターなどへの延伸が計画されています。

 HS2の列車は、最高時速400キロメートル(約250マイル)に達する予定で、既存の鉄道ネットワークよりも高速で移動することが可能です。これにより、遠距離の移動時間が大幅に短縮されます。

 昨年12月、日立製作所の鉄道システム事業におけるグループ会社の日立レールとフランスのアルストムが折半出資する日立アルストムハイスピード共同事業体がハイスピード2(HS2)向け車両の製造・保守を受注することが発表されました。

 受注したのは欧州最速となる最高時速360kmの高速列車54編成の設計、製造と、12年間に及ぶ保守業務で、契約金額は総額19億7000万ポンド(約3000億円)の大型プロジェクトになります。

 日本の新幹線の製造をしている日立レールと、フランスの高速鉄道であるTGVを製造しているアルストムが共同で受注することになったのは、もともと日立レールとアルストムに買収される前のボンバルディアが共同で応札していたからです。日立レールが単独でなく、ボンバルディアと共同で応札した背景には、欧州で幅広く採用されているボンバルディアの高速鉄道の規格の存在などがあります。HS2の車両は、日本の新幹線の技術と欧州の高速鉄道の規格が融合したものになることが予想されています。

 HS2は新幹線同様に専用の高架を走ることになりますが、バーミンガムから一部の列車が在来線に乗り入れるという計画があります。

 イギリスでは公共交通部門では最大手のファーストグループが70%、イタリアの国鉄であるトレニタリアが30%を出資するアバンティ・ウェスト・コース(Avanti West Coast)という列車運行会社がロンドとグラスゴーを結ぶ西海岸本線(West Coast Main Line)の運行権を持っていますが、HS2開業後、HS2の列車運行の権利も持つとされています。

 プロジェクトの事業主体は、「HS2 Ltd」(High Speed Two Limited)です。HS2 Ltdは、イギリス政府の公共部門の一部門として設立され、HS2プロジェクトの計画、設計、建設、運営に関する責任を担っています。

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