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英EU離脱、メイ首相辞任後に想定される展開

 メイ首相が辞任を表明しているイギリスですが、次期首相はより強硬なブレグジット(英のEU離脱)を模索するだろうということです。
 国家の上にもう一つ国家があるようなEUですが、これでは多くの国を纏めることはできないと思います。現在は纏まっているように見えても、今回のイギリスのように、いずれ離脱するところが増え、最終的には元のECのような、結び付きの緩やかな小さな集合体に戻るような気がします。
 特に今回イギリスで争点になったのは、移民の移動の自由に対する国家による管理の是非だったと思いますが、この問題は、それぞれの加盟国の独自の判断に委ねられるべき性質のものかと思います。
 TPPもこれを他山の石として、慎重な運営に努めるべきかと思います。

 以下、2019年5月24日のReutersからの引用になります。

 [ロンドン 23日 ロイター] – 英国の欧州連合(EU)離脱問題は、メイ首相の辞任によって混迷の度を深めるだろう。次期首相は、より強硬なブレグジット(英のEU離脱)を模索するだろうし、数カ月以内に総選挙が実施されてもおかしくないからだ。

 最終的に英国は、EUとの間で何らかの形で移行期間を設けて円滑に離脱するか、突然合意なしで離脱する、または離脱しないといういずれかの道を選ばなければならない。10月末の離脱期限は再延期される公算が大きい。

 2016年の国民投票で離脱派の顔となり、ブックメーカーから次期首相の有力候補とみなされているボリス・ジョンソン前外相は、メイ氏の提案に比べて強硬な離脱を望んでいる。他の次期首相有力候補として名前が浮上しているのは、サジド・ジャビド内相や、マイケル・ゴーブ環境・食料・農村相、ジェレミー・ハント外相らだ。

 一方最大野党・労働党のジェレミー・コービン党首は、昔ながらの社会主義政策を実行したい考え。1975年には当時の欧州共同体(EUの前身)加盟に反対し、2016年の国民投票ではEU残留に渋々賛成した。国民投票の再実施についても、それほど積極的に支持する姿勢は見えない。

 以下にメイ首相辞任後に想定される事態を記した。

 (1)合意なき離脱

 与党・保守党党首の座をだれがメイ氏から引き継いで次期首相になるとしても、EUに対して離脱条件をより英国に有利にすることを要求するのはほぼ確実だ。しかしEUは繰り返し、離脱協定の見直しはしないと明言している。

 つまり10月31日の離脱期限前に英国とEUが何らかの形で正面からぶつかる展開が予想される。

 英国の次期首相の政治的立場を強めるために、一部の閣僚は合意なき離脱に向けた準備を加速することを望んでいる。

 合意なき離脱は、英国がさまざまな国との間で営々と築いてきた貿易関係を一挙に奪い去り、欧州全土やそれ以外の地域のサプライチェーンを混乱させるので、多くの企業にとっては悪夢のシナリオだ。

 その政治的、社会的な影響はよく分からないものの、過去の動きから判断すれば金融市場は動揺し、ポンドは下落するだろう。

 議会は合意なき離脱への反対姿勢を何度も表明している。とはいえ政府が合意なき離脱を目指した場合、果たしてどうやって阻止できるのかは不明だ。

 シンクタンク、インスティテュート・オブ・ガバメントは「議会の手続き面で(合意なき離脱を回避する)道はない。唯一阻止できそうな内閣不信任案は(保守党議員にとっては)大きな賭けになる」と指摘した。

 JPモルガンは顧客向けノートで、合意なき離脱の確率を25%に引き上げ、総選挙を経てボリス・ジョンソン氏が首相になるのが基本シナリオだと説明するとともに、離脱期日の延期確率は60%とみなした。BNPパリバは23日、合意なき離脱確率が20%から40%になったとの見方を示した。

 (2)総選挙

 通常なら英国の次の総選挙は2022年以降だが、前倒しされる方法が2つある。

 1つは下院(定数650)の3分の2が選挙実施に賛成すること。もう1つは内閣不信任案が可決され、その後14日以内にどの政党も下院で信任を得られない場合だ。

 選挙の行方は予測がつかない。主要政党の支持率が低下し、ナイジェル・ファラージ氏が率いるブレグジット党や、自由民主党、スコットランド民族党(SNP)、緑の党などの党勢が拡大しているからだ。

 保守党が過半数を握れば、今よりも断固とした形のEU離脱を実施しそうだ。労働党が多数派になると、いくつかの戦略的企業を国有化しようとするだろう。少数与党政権や連立政権が誕生するケースもあり得る。

 (3)離脱なし

 メイ氏が早期辞任する情勢になったことから、EU離脱の正確な定義を巡る議論がリセットされるだろう。ただ離脱反対派は、国民投票の再実施や英国がEUに対して行った離脱通告の撤回を推進する時間も得られそうだ。

 これまでずっと国民投票再実施を拒否してきたメイ氏が最後になって離脱再実施の是非を問う採決を実施する考えを示したことで、2回目の国民投票が実現する可能性が見えてきた。

 実現への道は、労働党が選挙で勝利するか、議会が単純に賛成多数で承認するかになる。労働党のコービン党首は国民投票への態度が今一つはっきりしないが、同党自体は2回目を行うことを望んでいる。一方議会は以前の国民投票再実施に関する採決では、十分な賛成が集まらなかった。

 議会が今度は国民投票再実施を決めた場合、英国は投票への選挙運動のために十分な時間を確保するため、EUに離脱期限の再延期を求めざるを得ない。

 離脱賛成派と反対派はともに2回目の国民投票に向けた準備を進めている。ただ投票結果は極めて不透明だ。EU残留が多数となった場合、離脱賛成派は3回目の投票を行って決着をつけるよう要求するかもしれない。

 (4)新協定の可能性

 次期首相は、特にメイ氏が2年かけてようやく離脱案合意にこぎ着けた後だけに、EUと全く新しい協定を結ぶ交渉をするのがいかに難しいかが分かるだろう。

 EUは、英国離脱後の将来の関係について大枠を示す「政治宣言」の見直しには応じる構えだが、英国の強硬離脱派が批判的なアイルランド国境に関する「安全策」を含み、法的拘束力を持つ離脱協定は再交渉することを拒んでいる。

 マクロン仏大統領は4月、英国の離脱期限を1年延長する提案はEUの諸機関にとってリスクが大き過ぎると反対した半面、メルケル独首相は欧州経済に打撃を与える混乱を伴う英国の離脱を避ける考えを模索し続けている。

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