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ビジネス応用への一歩を踏み出す量子コンピュータ 研究者、開発者、企業担当者のキープレーヤーが語る最新動向

 従来のコンピュータの常識を覆し、社会に大変革をもたらすかもしれない量子コンピューターですが、日本の現状はどうなっているのでしょうか。
 2018年9月19日、理化学研究所がNTTやNEC、東芝などと共同で次世代の高速計算機である「量子コンピュータ」の開発に乗り出すと報じられたそうですが、ニュースでは、IBM、グーグル、マイクロソフトなど外国企業の名前ばかりが大きく報じられ、遅れを取っている印象が否めません。

 以下、Japan Business Pressからの引用になります。

 従来型コンピュータを圧倒的に上回る性能を発揮する可能性を持った「量子コンピュータ」。この1、2年で研究および技術開発が急速に進展したことにより、もはや「遠い将来の夢」ではなく、ビジネス世界での応用が現実のものとなり始めている。

 それを実感できるイベント「量子コンピューティングビジネスフォーラム2018」(主催:ウィル・カンファレンス、後援:一般社団法人CDO Club Japan)が、2018年7月30日に東京丸の内で開催された。ハードウェアとソフトウェアの研究者や開発者、すでに応用に乗り出した企業担当者など、量子コンピューティングの最前線で活躍する国内のキープレーヤーが揃った。

 参加者の多くは量子コンピューティングのビジネス応用に関心を持つ企業担当者。ビジネスに量子コンピューティングを利用しようという動きはすでに始まっている。本記事ではこのフォーラムでの講演およびパネルディスカッションの概要を紹介する。

 現状では、量子ゲート方式と量子アニーリング方式という2つの研究開発が行われているが、以下では基本的に両者を明確に区別せずに「量子コンピュータ」と称する。

 この1年で研究が急速に進展

 産業技術総合研究所エレクトロインフォマティクスグループの川畑史郎氏は、基調講演で「2017~2018年は量子コンピュータにとって激動の年だった」と語った。1つのチップ(プロセッサー)が収容する量子ビット数(量子情報処理の最小単位)が急増したのである。2017年4月時点での最高が9量子ビットだったのに対し、それ以降IBMやIntelがそれを大幅に上回る集積度を実現し、2018年3月にはGoogleが72量子ビットのプロセッサーを発表するに至った。

 量子コンピュータの集積度をさらに上げるには、もう少し時間がかかるし、解決すべき課題も多い。だが、近年の進展によって、遠い将来ではないところまできていると川畑氏は展望を語った。

 現時点で商用化されている量子コンピュータは、「量子アニーリング方式」に基づくカナダD-Wave Systems社のものだけである。特別講演を行った同社PresidentのBo Ewald(ボー・エワルド)氏は、5640量子ビットの集積度を持つ次世代機(現行製品は2048量子ビット)を2019年夏頃発売する予定であると表明した。その次世代機はすでに東北大学が導入することを決めている。D-Wave次世代機が国内に設置されることで、通信回線の遅延が減り、効率的な実行環境の構築に繋がる。

 従来型コンピュータと類似する「量子ゲート方式」のコンピュータを開発している一社がIBMである。同方式に基づく量子コンピュータなら、量子アニーリング方式のものより広範囲の処理に対応できる。

 日本アイ・ビー・エム東京基礎研究所の小野寺民也副所長は、ハードウェアだけでなく、量子コンピュータ用のソフトウェア開発にも力を入れていると同社の取り組みを説明した。同社は、クラウド経由で同社の量子コンピュータのシステムを利用できる「IBM Q Experience」というサービスを2016年から提供している。また同社は2018年5月、慶應義塾大学と連携し、「IBM Qネットワークハブ」という研究拠点を開設した。

 早稲田大学、リクルートコミュニケーションズ、デンソー、豊田通商、東北大学からは、量子コンピュータを利用した研究事例が報告された。どの大学や企業も、まだ有効な用途を模索している段階である。このため、実証研究などに多彩な業界の企業の参加が呼びかけられた。

 事例報告の内容については、別の記事として紹介する予定である。

 日本は世界をリードしている

 最後にパネルディスカッションが行われた。パネリストは、D-Wave SystemsのEwald氏、日本アイ・ビー・エムの小野寺氏のほか、豊田通商エレクトロニクス技術・投資戦略グループの粟島亨氏、東北大学大学院量子アニーリング研究開発センターの大関真之センター長、楽天執行役員CDOの北川拓也氏の5人。量子コンピューティング分野における日本のポジションや、ビジネス応用を進展させるための方策などについて議論を展開した。

 最初に、量子コンピュータ分野において、日本が世界的に見てどのような位置にいるか、という点が議論された。

 Ewald氏は「量子コンピューティングの分野では日本は遅れているわけではなく、むしろ世界をリードしている」と語った。D-Wave Systems社は同社の量子コンピュータに対してリモートアクセスできるサービスを有償で提供しており、現在ユーザーが最も多いのが日本であるという。

 日本アイ・ビー・エムの小野寺氏も「国や産業界が力を入れて実証実験を行っていると言われているアメリカやオーストラリアなどと比べても、ソフトウェア開発においては、日本は先進的である」と賛同した。

 東北大学の大関氏は、日本では完璧な状態になってからようやく発表するという傾向があるという懸念を示した。海外では「やってみました」「ある結果がでました」「現段階ではここまでの成果です」という途中経過で発表されることも多く、それが研究の進展につながる面がある。日本でもそのような考え方に切り替えていく必要があると強調した。

 まずは「やってみなはれ」

 次に、今後量子コンピュータをビジネスとして応用していくためにはどのようなことが必要か、という話題に移った。

 楽天の北川氏は、「ビジネスにとってどのような使い方をしたら、どのようなベネフィットが生まれるのか。そして具体的にどのような事例があるのか。ユーザーの視点ではっきり示されたら、より産業界での応用が進むのではないだろうか。」と量子コンピューティングのビジネス応用を加速させるためには、分かりやすさが重要であると強調した。

 「量子コンピュータのようなまったく新しい理論に基づく技術では、何ができるのかと全体を見通すことよりも目の前の課題から何が発見できるかを共有し、実装してみることが大切であり、柔軟さと腰の軽さが重要。まずは触ってみて、うまい使い方を考えることが大切である」同氏は述べた。

 そのときに有用なものが、D-Wave Systems社が提供するリモートアクセスサービスだ。同社のEwald氏は「Just Do it」と応えた。いわば「やってみなはれ」精神が今は重要なのだ。

 量子コンピュータを交通渋滞解消に応用する用途に取り組んでいる、豊田通商の粟島氏は「ビジネスの現場にはたくさんのチャンスがある」と補足した。

 東北大の大関氏は「今後量子コンピュータは、一般的な社会課題のソリューションとしてビジネス展開してもらいたい。そしてゆくゆくは量子力学が当たり前になり、想像もできなかったアイデアが生まれていく。ビジネスを通して時代を、世界を変えていきたい。そのためには今、動く必要がある」と力を込めて語った。

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