東久留米市をブランディング
手塚先生は60歳で亡くなるまでの約10年間を東久留米市で生活していましたが、ご承知の通り、漫画・アニメ界の先駆者、巨人であり、日本国内はもとより、世界中にファンや愛好家がいます。手塚先生がこのまちで生きた息吹が感じられるようなものを整備することで、それらの人々の関心を東久留米市に集め、東久留米市への来訪も期待できるようになります。
手塚先生に遺していただいた、先生の名声という資産を活用させていただくことで、東久留米市を輝かしい魅力、価値、ブランドとして確立することができ、また、その効果として、東久留米市を観光地にすることも可能になります。
そして、その影響力は、世界中に先生のファンや愛好家がいることで、日本国内にとどまらず、世界中に及ぶことになります。
実現可能なコンパクトな企画を策定
このような企画を策定するとき、往々にして壮大な記念館のようなものを想定しがちですが、市役所のロビーや図書館の一隅に手塚先生の仕事部屋を再現するだけでもファンや愛好家にとっては魅力があり、東久留米市の財政でも手が届くものになります。
そして、このような企画は、地域振興、地域経済の活性化、担税力の強化など、地域住民の生活の向上のためのインフラ整備、制度設計、制度運用の一つとして位置づけられることから、行政本来の役割として、市が主導することになります。
東久留米市の魅力が、市内の商品やサービスに付加価値を付与
東久留米市をブランドとして確立することで、地域内の多くのものが東久留米市から付加価値を与えられ、特別なものになり、地域振興、地域経済の活性化に寄与するようになります。
深大寺のそばは、深大寺の歴史という付加価値を内包
たとえば深大寺のそばについて考えてみます。そば粉をロシアや中国からの輸入に頼るようになっている現在、地域による味の違いは出にくくなっているように思われます。
しかし、深大寺で食べるそばは、深大寺という特別な場所で食べる特別なそばであり、深大寺でそばを食べる行楽客は、自分でもはっきりとは意識しないまま、深大寺という寺の歴史の重みを感じながらそばを食べているように思われます。
これが深大寺というブランドがもたらす付加価値、特別な体験ということになり、地域の多くのものが深大寺というブランドから付加価値を与えられ、価値を高めているように思われます。その結果、深大寺というブランドが地域振興、地域経済の活性化に多大な影響力を及ぼしていることがわかります。
東久留米市も、深大寺と同様の構図で解釈可能
東久留米市について、深大寺とおなじ構図で考えると、ブランド化された東久留米市の魅力が、地域の商品やサービスの魅力をいっそう高めることで、地域振興、地域経済を活性化するということになります。
そして、東久留米市のブランド効果による地域振興、地域経済の活性化は、市民生活の満足度、市外からの企業誘致、住民の転入など、あらゆる面において好影響・好循環をもたらすようになります。
インターネットを活用し、東久留米市の情報を世界中に発信
インターネットのホームページ、ブログ、YouTube等を利用し、低額の料金で、東久留米市が手塚先生がかつて暮らしたまちであること、東久留米市における当時の先生の生活のあかしになるようなものを、国内外に発信するようにします。
その際、閲覧者を市内の事業者のホームページに誘導できるような仕組を作っておくと、インターネット上で受注も決済もできますので、市内の事業者の商品やサービスを、遠方の消費者にも提供できるようになります。
そして、それは何よりも、インターネットを通じて、東久留米市の魅力を知っていただいた人々に、東久留米市を訪れていただくための、きっかけをもたらすことになります。
観光客の来訪がもたらす東久留米市の未来の情景、活況とにぎわい
やがてそれらの人々が東久留米市に来訪し、市役所の一階のロビー、または図書館の一隅に設置された手塚治虫記念スペース、たとえば、10畳から20畳ぐらいのスペースに、手塚先生の仕事べやを忠実に再現したものを訪れるようになると、駅から市役所、または図書館までの通りの両側、あるいは裏通りに、観光客を対象にした飲食店、土産物店、ホテル、民泊などの宿泊施設が、徐々に立ち並ぶようになります。
手塚治虫記念スペースから市内各地への波及効果
手塚治虫記念スペースに立ち寄った観光客たちは、市が設置した観光案内に誘導され、南沢湧水群、落合川の清流を見てまわり、時間があれば下里の新山遺跡、下里本邑遺跡まで足を延ばし、最後に東久留米駅周辺の施設で休憩し、宿泊施設で宿泊することになります。
こうして、ブランド化された東久留米市の魅力により、地域振興、地域経済の活性化が後押しされ、リピーターを中心に拡大する、循環型の、文化、及び経済の基盤が、着実に形成されていくことが期待できるようになります。
西武池袋線上にある、手塚先生関連の他の施設、西武鉄道との連携
西武池袋線上には、手塚先生と関連のある施設が、沢山あります。
豊島区に豊島区が運営するトキワ荘、所沢市に株式会社西武ホールディングスと株式会社西武園ゆうえんちが経営するレッツゴーレオランド、飯能市にフィンテックグローバル株式会社と株式会社ムーミン物語が経営するムーミンバレーパーク、そして東久留米市に、手塚先生が生前ご家族と生活していた住居があり、それがすべて西武池袋線で繋がっています。
ちなみに手塚先生とムーミンの繋がりは、ムーミンのアニメを虫プロダクションが第27話以降最終回まで担当していたことに由来します。
施設の魅力、集客力を考えるとき、単体での運営よりも、複数の施設の集合体での運営のほうが、利用者に提供できるサービス内容が多様化し、それだけ魅力と集客力が増大することが予想されます。
そして、これらの事業体の連携を企画するとき、西武鉄道を中心として、トキワ荘、手塚治虫記念スペース、レッツゴーレオランド、ムーミンバレーパークが連携し、池袋から飯能を結ぶ観光ルートを確立するということが考えられます。
東久留米市には、市の発展と飛躍のために、東久留米市のブランド化とともに、このような連携についての検討も期待したいと思います。
豊かになった税収で、充実した福祉、行政サービスを実現
東久留米市のブランディングにより地域振興、地域経済が活性化され、強化された自主財源、担税力で、医療、介護、福祉、子育て、教育、就労、就業、生活全般にかかわる支援など、市民生活を支える行政サービスの拡充が期待できるようになります。
東久留米市の歳入は、大きなものとしては市税、地方消費税交付金、地方交付税、国庫支出金、都支出金ということになりますが、そのなかの法人市民税を含む市税、いわゆる自主財源の割合を高めることで、あらたな行政サービスの提供、これまで十分に実施できなかった行政サービスの拡充が可能になります。
財源を確保できれば、医療、介護、福祉、子育て、教育、就労、就業、生活など、市民生活にかかわる給付、制度において、東久留米市独自の上乗せ給付、制度の拡充も可能になってきます。
そのため、自主財源の拡大、担税力の強化、それらを可能にするビジョンの構築、東久留米市のブランド化を含めた発想の転換が、今後の課題になります。