日立レール(イギリス)（Hitachi Rail Ltd.）はヨーロッパ、北米で、大型案件を立て続けに受注していますが、ワシントン地下鉄（ワシントンメトロ）もそのなかの一つです。
日立レールがワシントン地下鉄の契約を受注したのは2021年3月です。この契約に基づき、日立レールはワシントンメトロ向けの新しい車両を製造・納入することとなりました。
具体的な受注内容の詳細
契約締結日：2021年3月
契約の範囲：初期の256両の新しい地下鉄車両（8000系車両）の製造と納入。将来的には最大800両までの追加オプションが含まれています。
車両の特徴：最新の技術とデザインを取り入れた車両。エネルギー効率が高く、環境に配慮した設計。高い品質と安全性を備えた車両。
契約の背景と重要性
技術と信頼性：日立レールはこれまでの実績と信頼性から選ばれました。特に高い技術力と品質管理が評価されています。
サイバーセキュリティ：中国製の鉄道車両に対するサイバーセキュリティの懸念もあり、日立レールの技術が安全面で信頼された点が重要です。
経済的影響：日立レールの製造拠点がアメリカ国内にあることから、地元経済への貢献も評価されました。
特にこのなかでも、中国製の鉄道車両に対するサイバーセキュリティの懸念が大きかったいわれています。
サイバーセキュリティの懸念
近年、中国製の鉄道車両や監視システムに対するサイバーセキュリティの懸念が高まっています。アメリカ政府は、インフラに対するサイバー攻撃のリスクを低減するために、中国製の技術や機器の使用を避ける傾向にあります。
信頼性と安全性
日立レールは、信頼性の高いセキュリティ技術を提供しており、これが選定において重要なポイントとなりました。日立の技術は既に多くの国で実績があり、安全性が証明されています。
規制と法令遵守
アメリカの規制当局は、安全基準やセキュリティに関する厳しい規制を設けています。日立レールはこれらの規制を満たす技術と管理体制を持っており、法令遵守の観点からも信頼されています。
地政学的要因
アメリカと中国の間の地政学的緊張も影響しています。インフラプロジェクトにおいては、国家安全保障の観点から、中国製の技術や製品を避ける動きが強まっています。
これらの要因により、日立レールはワシントン地下鉄の契約を獲得する上で有利な立場にありました。特にセキュリティや監視に関しては、信頼性と安全性が評価された結果と言えます。アメリカ政府の要人が利用することもあるワシントン地下鉄の車内が中国に監視されるのは、国家安全保障の観点から、さすがにまずいだろうという評価になりました。
プロジェクトの進行状況
日立レールは契約締結後、設計や試作を開始し、納期に従って車両の製造を進めています。最初の車両の納入は数年以内に予定されており、ワシントンメトロの車両更新が進行中です。
この契約により、ワシントン地下鉄の車両更新とサービス向上が期待され、乗客の快適性と利便性の向上にも繋がる重要なステップとなります。
