ロシア(ロシア連邦、Russian Federation)は人口が約1億4,645万人(2023年1月)、日本の1億2,456万人(2023年7月)と比べ、約2,000万人多いだけで、経済規模は日本の4,912,147百万US$に対し、2,062,649百万US$と日本の半分以下です。
この規模の人口とGDPで、地上軍:兵員約59万人、海軍:兵員約14.5万人、航空宇宙軍:兵員約16.5万人、戦略ロケット部隊:兵員約5万人、特殊部隊:兵員約0.1万人、鉄道部隊:2.9万人、指揮支援要員:兵員約18万人など、合計119万人の兵員を支えています。また、兵器の数も多く、核兵器だけ見ても、5,550のアメリカに対し、それを上回る6,255(2021年1月)も保有しています。
この経済規模で、これだけの兵力をよく維持できるなというのが、正直な感想です。
ウクライナ侵攻後のロシアのSNSなどを見ていると、20代から40代にかけての比較的若い世代がおおむねウクライナ侵攻の実態を正確に把握しロシア政府に批判的であるのに対し、ソビエト連邦時代を経験した50代以降の世代の人たちの多くがロシア軍によるウクライナ侵攻を当然のこととして、ウクライナの次はポーランドだなどと平然と口にしています。
このような映像を見ていると、ロシア政府によるプロパガンダのせいもあるにせよ、ロシアの一般の年配の女性や男性が、他国を侵略することに何の疑問もためらいも感じないのは何故だろうかと、驚きとともに考えてしまいます。
いろいろ考えてみて、思いあたることは、彼らがソビエト連邦時代を生活し、当時の政権に抑圧される側であったにもかかわらず、意識の上では、ソビエト連邦とともに周辺の国家や民族を侵略し、支配することに、ロシア人としての誇りを感じていたのではないかということです。
いわゆるロシア、ロシア人を強大な国家、民族と見る「大ロシア主義」です。
過去のロシアを調べて見ると、ピョートル大帝(ピョートル1世)時代のロシアは西欧化が進められ、エカテリーナ大帝の時代は啓蒙主義的な改革を進める一方で、ロシア帝国内部の異なる民族や宗教を尊重し、統一する政策はあまり強調しない方針を取ったとあり、アレクサンドル1世やニコライ1世の時代も、ロシア帝国内の民族的な統一を図るための政策が推進されたとあるだけで、この時代のロシアには「大ロシア主義」の片鱗も見られません。
ロシア人がどこでこの「大ロシア主義」を身に着けたか、あらためてと考えてみると、やはりロシア革命後の、ロシアが世界革命を画策し、アメリカをはじめとした資本主義国と対峙しながら、周辺諸国を侵食し始めたときではないかと思われます。
そのときの、共産革命によって世界を支配しようとしたロシアの強大さへの誇りが、「大ロシア主義」として、ソビエト連邦を経験した人たちの意識の奥底に、今日も根強く残っているということではないでしょうか。