「ガン栄養療法入門―食事指導で末期患者も治す!英国ブリストル病院の奇跡」は、ブレンダ・キッドマンというご自分でも乳がんを経験されたBBCの女性放送ジャーナリストが、BCHC(ブリストル病院)の設立の経緯・理念からBCHCで実施しているがん治療法の内容について詳しく解説した書籍です。手短にがん治療の情報を取得しようとしている方々にとっては、前置きにあたる部分が多少長く感じられるかもしれませんが、BCHCで実施している治療法の細部まで丁寧に解説していますので、特にこれからがん治療に取り組もうとしている方々には、大変参考になる書籍かと思います。
※ ちなみにこの書籍はすでに絶版になっており、新書ではお買い求めになることはできませんが、アマゾンなどで検索しますと、中古品は今でも何冊かヒットしますので、ご希望の方々には、中古品の在庫があるうちにお買い求めになることをおすすめしたいと思います。
BCHCで実施しているがんの治療法は、ドイツの医師、マックス・ゲルソンの栄養療法(ゲルソン療法)及び代謝療法を基本にしています。それに、瞑想によるがん治療で有名になったアメリカの放射線医師、カール・サイモントンの心に働きかける療法などが加わります。
BCHCの栄養療法のメニューは、ゲルソン療法のメニューと完全に同一ではありませんが、大量の野菜ジュース・果物ジュース・生野菜の摂取、塩分・精製された小麦粉や砂糖・魚・肉・オメガ3以外の脂質・加工商品の禁止・制限という基本的な部分では、ほぼ同一であるように思われます。
また、代謝療法も、メニューはオリジナルのゲルソン療法とはかなり異なりますが、食生活のかたよりなどから異常な状態に陥っている細胞を正常な状態に戻すためのビタミン・ミネラル・酵素の摂取という基本的な考え方では一致しているように思われます。
BCHCでは、代謝療法として、ビタミンA・B・C・E・D及びセレニウム・カルシウム・マグネシウム・カリウム・亜鉛の摂取、BCG・リトリールの注射・点滴を推奨しています。
リトリールはメキシコのコントラレス病院でもがん治療に使用され、標準治療が適用にならない末期がん患者を数多く根治させているそうです。
アンズの核から抽出された成分、リトリールが、がんの縮小、消失に、効果があるとされています。
日本でリトリールを使用したがん治療を受けるには、リトリールを使用している病院やクリニックを探しかないと思います。ただし、そのような病院やクリニツクが日本にあるかどうかはわかりません。
「ガン栄養療法入門―食事指導で末期患者も治す!英国ブリストル病院の奇跡」のなかに、リトリールの抗がん効果の説明として、「がん組織はベータ・グルコシダーゼを含んだ体液に浸っています。ここにビタミンB17がやって来ると、ベータ・グルコシダーゼがビタミンB17の分子を二つの糖分子、つまりベンズアルデヒトとシアン化水素の分子に分解する。」という一説がありますが、ベンズアルデヒトが出て来ることから、リトリールの作用に関して、大変示唆に富んでいるように思われます。
著者は、このシアン化水素ががん細胞に致命的な影響を与えることになると説明を続けますが、その一方で、「日本の研究者には、抗がん作用はベンズアルデヒトだけが持っており、だからB17の効果は、ベンズアルデヒトと、シアン化物が一緒になってのものだろうという研究を発表している人もいる」という意見も紹介しています。
ベンズアルデヒトと言えば、同時期、いちじくから抽出した薬剤(後にベンズアルデヒトと同定)をがん治療に使っていた東風睦之(こち むつゆき)先生の研究に繋がります。著者が指摘した日本人とは、もしかしたら東風先生のことかもしれません。
東風先生のクリニックで、ベンズアルデヒトによるがん治療の研修を受けていた岡﨑公彦先生が後に「がんの特効薬は発見済みだ」という著作のなかで、ベンズアルデヒトの抗がん作用の機序として、
「この発がんのプロセスを進める酵素があります。それをチロシン・キナーゼと呼びます。少し専門的ですが、チロシンは芳香族アミノ酸の一種で、ベンゼン核にアラニン水酸基とが対角位置に付いた構造をしています。キナーゼはリン酸基を付加する酵素です。一方、ベンズアルデヒトもベンゼン基にアルデヒト基が付く構造を持っており、チロシンと似た構造であるため、酵素の基質受容体がチロシンと誤認してベンズアルデヒトを受容するので、本来の基質であるチロシンが基質受容体に付着できなくなり、酵素活性が低下し、ひいては発がんのプロセスが停止します。これがベンズアルデヒトのがん特効薬としての作用メカニズムです。そして、ベンズアルデヒトの中でもパラヒドロキシベンズアルデヒトは、アルデヒト基と対角位置に水酸基があるから、よりチロシンに似ており、より強くチロシン・キナーゼを阻害し、より強い制癌採用を発揮するのだと思われます」「ちなみに、三協製薬のビオタミンと東和薬品のビオトーワは、どちらも同じ構造式のビタミンB1誘導体(ベンフォチアミン)ですが、分子構造中にベンゾイル基(ベンズアルデヒトから水素原子が一個欠落したもの)を含んでいて、内服すると、消化液で加水分解を受け、ベンゾイル基が遊離して吸収され、制がん作用を発揮します。」と説明しており、岡﨑先生は実際のがん治療では、三協製薬のビオタミンと東和薬品のビオトーワ(ベンフォチアミン)を使用しているそうです。
もし、リトリールの抗がん効果が東風先生が同定したベンズアルデヒトによるものであり、岡﨑先生が言うようにベンズアルデヒトの代用としてベンフォチァミンを使うことができるとすれば、リトリールを入手できなくても、日本にいながらにして、リトリールと同様の効果を享受できるということになります。
ベンフォチアミンは、アマゾンなどで、大変安く購入できます。「ベンフォチアミン」で検索すると、該当商品が沢山出てきます。
その結果、日本にいても、BCHCのビタミンA・B・C・E・D、セレニウム・カルシウム・マグネシウム・カリウム・亜鉛、BCG(丸山ワクチンを使用)、リトリール(ベンフォチアミンを使用)とおなじ代謝療法のメニューを取り揃えることができるようになります。
ちなみにビタミンAは野菜ジュース、果物ジュースで取れるので、サプリメントを購入する必要はありません。ビタミン、ミネラル類は、ベンフォチアミン同様、アマゾンなどで、安く購入できます。
また、丸山ワクチンは、ワクチンそのものは40日分20本(一週間を月、水、金の3日で計算しています。)で11,000円程度で安いのですが、ワクチンを注射してくれる医師を見つけるのが大変なようです。ワクチンの注射をお願いできる、かかりつけ医などとの関係を、事前に築いておく必要があるように思われます。
食事療法のメニューについては、この本のなかに、一週間分のメニューが記載されていますので、それを参考にすればよいと思います。